2.FL-netとは
[トップ] [1.はじめに] [2.FL-netとは] [3.サイクリック] [4.メッセージ] [5.ネットワークへの参加シーケンス] [6.トークンの多重化] [7.ノードの離脱]
2.1 FL-netの特徴
FL-netは工場で使用される生産機器との情報交換を目的として開発されたオープンなネットワークプロトコルスタックです。
FL-netのスペック |
項目 |
内容 |
論理ノード数 |
最大254ノードを接続可(ノード番号は1〜254を使用可能)。 |
データリンクサイズ |
領域1(8kビット)+領域2(8kワード)の計8.5kワードを利用可能。データリンクをしないノードの存在も可。 |
メッセージ |
プロトコルで定義された以外に独自定義のメッセージも利用可能。メッセージデータの最大長は1024バイト。 |
通信速度 |
10Base相当。 |
FL-netの特徴 |
特徴1 |
オープンネットワークであるため、様々なメーカの機器を接続可能。 |
特徴2 |
物理層にイーサネットを使用しているため、ハードウェアの開発コストを低く押さえることが可能。 |
特徴3 |
通信方式にマスタレスを採用。全てのノードは対等な関係となる。 |
特徴4 |
プラグ&プレイ指向のプロトコル。 |
特徴1
プロトコル仕様等、開発に必要な情報は基本的に全て無料で入手可能です。現在各社からFL-netを実装した商品が発売されています。
特徴2
物理層・データリンク層にイーサネット、ネットワーク層にIP、トランスポート層にUDPを利用しています。これらは現在のPC上ネットワークでは最も一般的なものです。市販されているネットワークカードを利用して、PC上で動作するプロトコルスタックも実現可能です。
特徴3
全てのノードは対等な関係となっています。各ノードは自分でネットワークの様々な情報を収集管理しています。ネットワーク上の1台のノードが仮にハングアップしたとしても、他のノードは自動的にハングアップしたノードをネットワークから分離し、通信を継続することが可能です。
特徴4
特別な設定をせずにLANケーブルを挿すだけでネットワークに参加できることを目標に設計されています。ノード番号さえ重複しなければ、とりあえずはネットワークに参加できるようなプロトコルとなっています。
2.2 FL-netのプロトコルスタック
FL-netはUDPの上位に位置するプロトコルです。FAリンクプロトコル層ではトークンによる送信権の管理・メッセージの再送機能・データリンクの管理などの機能を受け持ちます。
FL-net
(FAリンクプロトコル層) |
UDP
(トランスポート層) |
IP
(ネットワーク層) |
イーサネット
(物理層・データリンク) |
UDPのレイヤでは全部で4つのポートを使用します。送信元のノードは全て55003から送信します。送信先のポート番号はフレームの種類に応じて3種類あります。
UDPポート番号 |
サービス |
55000 |
サイクリック用ポート |
55001 |
メッセージ用ポート |
55002 |
参加要求(トリガ)用ポート |
55003 |
送信用ポート(全てのFL-netフレームは55003を送信用に使用) |
2.3 FL-netの用語解説
FL-netを理解する上で重要な用語の概略を解説します。
トークン
送信権です。基本的にFL-netではトークンを持っているノードのみしか回線上にフレームを送信することができません。トークンはノード番号が若いものから順番に移動します。
トランザクションコード(TCD)
FL-netのフレーム種別を判別するための値です。例えばTCDが65000のフレームはトークンフレームとなります。TCDは全てのフレームに付加されます。
最小許容フレーム間隔(MFT)
フレームとフレームの送信間隔です。MFTはノードごとに自分の値を持っています。実際はネットワークに参加するノードの中で最大値のMFTで全てのノードが送信をします。
リフレッシュサイクル測定時間
自分宛のトークンを受信してから次に自分宛のトークンを受信するまでの時間です。
リフレッシュサイクル許容時間(RCT)
メッセージの送信数の管理に利用されます。
トークン監視時間(TW)
自ノード宛のトークンを受信してから次のノードへトークンを送信するまでの最大時間です。この時間を超えてもトークンが送信されない場合、他ノードによってトークンが再発行されます。TWは各ノードがそれぞれ固有の値を持ちます。
コモンメモリ
ノード間のデータ交換はコモンメモリと呼ばれる仮想的なメモリを通して行われます。各ノードはコモンメモリ上のエリアを予約してデータ交換を行います。
サイクリック
コモンメモリのデータのことです。自分が予約しているコモンメモリのデータはトークンを得るたびに毎回送信します。一方メッセージは必要なときにのみ送信されます。
ACK
メッセージを受信したノードが受け取ったことを送信元に知らせるためのデータです。FL-netではトークンフレームの中に付加されます。
参加要求フレーム
ネットワークに参加するときに送信されるフレームです。このフレームはトークン(送信権)の有無に関係無く送信することが可能です。
トリガフレーム
ネットワークに参加するときに送信されるフレームです。参加要求フレームは全てのノードがネットワークに参加するときに送信されますが、トリガフレームはネットワークの中の1ノードのみが送信します。
2.4 プロトコルアナライザについて
Ethernetベースの通信プロトコルなので一般的なEthernetアナライザが使用できます。またFL-netで使いやすいように独自パッチを組み込んだフリーのアナライザを当サイトからダウンロードできますのでご利用ください。
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